World Young Dental Innovators’ Meeting 2020

ブダペスト研修の記事で、4年に一度の歯科のオリンピックとも呼ばれる学会について、少し触れました。
その日本国際歯科大会には世界中の歯科のビッグネームたち(嬉しいことに山道信之院長も4大会/16年連続で登壇しております!)が集結するのですが、2020年10月、歯科界の将来を担う若手臨床家たちに新たな活躍の場が誕生します。

World Young Dental Innovators’ Meeting は、世界で活躍されている海外演者24名に加え、若手の歯科医師が集うセッションが設けられ、現在多くの歯科医師から注目されている大会です。
2020年10月17日〜18日、今年新設されるパシフィコ横浜ノースで記念すべき第一回大会が行われます。

*新型コロナウイルスに関連して、World Young Dental Innovators’ Meeting は延期が発表されました。2021年7月17日・18日に開催されます。

山道研介が演者として登壇!

この大会で若手のセッションとして設けられている、「気鋭若手臨床家によるプレゼンテーション」には全国から約40名が選出されています。

その1名として、当院の歯科医師・山道研介が昨年行われた厳しい審査を経て、選出されました!

休日も勉強や研究に勤しんできた努力を認めていただけたことに、一同大変嬉しく思うとともに、責任を再認識し身の引き締まる思いです。
Dr. 研介いわく、歯学生の頃から父親である院長の講演する姿を間近で見てきて、「院長が現役のうちに自分も同じ場所で自分の研究や考えを伝えたい!」という思いを持っていたそうです。

そして発表の内容は…!

気になる山道研介の発表は…


『側方アプローチにおける上顎洞粘膜のプロテクションコンセプト』
完全に一致する日本語がなかなか思いつきませんが、日本語に訳せばこのような感じでしょうか。半分カタカナですが…。

ヒトの顔はとても複雑

ヒトの顎顔面は非常に複雑な構造をしています。
特に硬組織(骨・歯)が入り組んだ、パズルのような組み合わせは他の部位にはない特徴と言えるでしょう。

私たち歯科医師が関わらせていただく顎顔面の器官には歯はもちろんのこと、顎骨、顎関節などが挙げられますが、その一つが「Sinus=上顎洞(じょうがくどう)」です。
上顎洞はヒトが持つ4つの副鼻腔(ふくびくう/前頭洞・篩骨洞・蝶形骨洞・上顎洞)の一つで、最大の体積を有しています。
風邪をこじらせた時などに頭が重い、痛いといった症状が出て、副鼻腔炎と診断された経験のある方もいらっしゃるかと思いますが、副鼻腔炎の際にはこの副鼻腔内に感染によってできた膿がたまった状態になっています。

副鼻腔は骨の中に存在する空洞なのですが、これらがなぜ存在するのか、真実はいまだに結論づけられていません。
頭部の骨の重さを軽減するため、発声時に音が響くように、脳を守るためのクッションの役割など数多くの説が発表されています。
また、上顎洞内部は多列線毛円柱上皮と言われる、細かい毛を持った粘膜に覆われています。細菌などの異物は粘膜から分泌された粘液に包み込まれ、無数の微細な線毛によって排出されます。つまり、感染防御の役割も担っているのです。
これらは全て正しいのでしょうが、はっきりとした存在意義とは言い切れないのも事実です。

私たちが上顎洞を扱う理由

私たち山道歯科医院の歯科医師はこの謎の器官、上顎洞を扱います。

例えば、今回のDr. 研介の発表のメインテーマでもある、サイナスフロアエレベーション

上の奥歯を失った方が「インプラントをしたい!」と決断された時、問題となってくるのが上顎洞の位置です。
生まれつきの解剖学的な問題もありますし、歯の感染や歯周病などで骨が吸収していた場合にも上顎洞と口腔の距離は近くなります。
距離が短い場合、インプラントを入れて固定する骨が足りず、そのままインプラントを入れてしまうと上顎洞に突き抜けてしまいます。

ここで、上顎洞の底の粘膜を持ち上げて、新たに骨を造成する、サイナスフロアエレベーションが適応となります。
サイナスフロアエレベーションで新しく作った骨の中に標準サイズのインプラントを入れ込み、咬める状態を作り上げていきます。

短いインプラントを入れれば良いのでは?と思われるかもしれませんが、短いインプラントにはまた別のリスクが伴います。
このリスクについては長くなりますので、また別の記事に書かせていただきます。

研究や発表などの学術活動について

私たち山道歯科医院の歯科医師は日々の診療で頂いた経験をこれから先の歯科医療に活かしていくため、様々な学術活動を行っています。

今回のDr. 研介の発表は今までの診療で得た知識、技術を同じような難しい症状の患者さまが来院された時に多くの歯科医師に役立ててほしいという思いから選ばれたテーマです。

昨年、一昨年は同じく上顎洞へのアプローチについての論文を、院長の長年の研究メンバーでいらっしゃる園田哲也先生(大牟田市にてそのだ歯科医院をご開業)、原田武洋先生(東区・和白にてはらだ歯科医院をご開業)と共に執筆し、Journal of Periodontology(アメリカ歯周病学会の学会誌)および JOMI という非常に権威のあるジャーナルに掲載されました。
他にもImplantologyというジャーナルにも両先生との共著記事が掲載されています。

園田哲也先生(左手前)、原田武洋先生(中央)と共に

より安全で確立された歯科医療を発展させていきたいという思いを胸に、様々な発表や研究を行っております。

ご興味をお持ちいただいた方はぜひ、ご来院の際などに気軽に話しかけてください。熱のこもった研究談義をお話しいたします!