2022.03.26
【症例】歯周病の改善と成人矯正治療(非抜歯矯正治療)
治療概要
- 患者様
- 43歳 女性
- 診察結果
- 重度な歯列の乱れ・噛み合わせ不良・歯列不正に伴う清掃不良・親知らず
- 治療内容
- 親知らず抜歯、歯列矯正治療
- 治療完了日と治療期間
- 2021年5月15日(1年7ヶ月)
- 総治療費
- 約90万円(税込)
- 治療後のメンテナンス
- 4ヶ月に1回の通院によるかみ合わせや歯周病の進行状態のチェック
- その他
- 歯間ブラシとフロスによる保定部位の歯周病ケアを指導
患者様の相談内容
「歯周病が気になる」というご相談で来院されました。
初診時は歯磨きが上手くできていない部位も多く、軽度な歯周炎に罹患していました。
歯周病の改善には、矯正治療が必要な場合がありますが、矯正治療が必要な場合も歯周病治療が必要な場合があります。歯周病の有病者率は平成 23 年歯科疾患実態調査によると、働き盛りの年齢層(35 ~ 69 歳)では80%以上を示すことから、成人矯正の場合は、ほぼ歯周病のコントロールが必要になります。
プラークの染め出し試験の結果、磨き残しが多い部分は歯並びがガタガタしている部位と一致しており、歯磨きがうまくできない根本的な原因として「歯並び」が大きく関わっていました。
- 歯周病の原因のひとつに歯並びが挙げられる
- 歯磨きがうまくできない部位は歯並びに問題がある可能性がある
山道歯科の診断
模型分析やCT分析の結果、親知らずの抜歯のみで小臼歯非抜歯矯正治療が可能であると診断しました。
- インビザライン、ゴムメタルによる非抜歯矯正治療が可能な状態
- 当院では小臼歯抜歯をせずに歯科矯正治療できる事が多い(89%)
- 重度なガタガタも治療方法次第で非抜歯矯正可能なケースが多い
- 親知らずは矯正に先立ち抜歯が推奨される
治療の流れ
まずは親知らずの抜歯を行いました。親知らずの抜歯はピエゾサージェリーとPRFを用いると、術後の腫れや痛みを最小限に止めることができます。
ブラケットを歯に装着し、ワイヤーによる歯の移動を行なっていきました。
装置自体は透明感のある白色で、あまり目立ちません。
ワイヤーはゴムメタルという特殊な金属でできており、痛みも従来より少なく、スムーズに歯を動かすことができる素材です。
ゴムメタルによる歯牙の一括移動法を行ったため、治療開始から7ヶ月程度で噛み合わせを仕上げていくステップに移行できました。ゴムメタルの使用は治療期間短縮に有効です。
- 1本のみ右下の親知らずをPRPを使用して抜歯
- 歯列矯正装置(ワイヤー)装着
- 半年程度でガタガタは解消
- ガタガタが解消された後、噛み合わせを緊密に合わせる
治療期間終了後
噛み合わせにこだわりの強かった患者様のため、噛み合わせ調整に期間を要して、総合的な治療期間は約1年7ヶ月、非抜歯矯正治療で、機能的にも歯周病のリスクも低い状態に仕上がりました。
歯周病ケアは、歯間ブラシとエアフロスを用いたプラークコントロールの維持を指導しています。
患者様は歯科矯正終了後、心地よい噛み合わせに満足されました。
当院では日本歯周病学会認定医を取得した歯科医師が矯正治療を行うため、ただ歯をきれいに並べるだけでなく、歯の長期的な健康状態を考え、噛み合わせの維持や歯周病を管理しやすくするための矯正治療が提供できます。
歯科矯正治療は矯正装置装着後、個人差がありますがある一定の期間痛みを伴いますので、食事がとりにくかったり、物が噛みづらい、発音しづらいなどの不快感を伴う場合があります。口の中が狭い人、広い人で痛みの度合いが変わります。また、矯正治療は定期的な通院などの患者様のご協力が必要です。矯正装置の種類によりメリットデメリットがありますので、詳しくは治療計画説明の時にお伝えいたします。
上記説明は例を挙げての治療の説明であり、個々の患者様の状態等により治療の費用、方法や結果が異なります。治療の方針や治療費、治療等の主なリスクや副作用等に関しては治療開始前にご説明しますので、まずは当院まで治療の相談を予約して下さい。