2020.06.01
【TOPIC】歯磨きで心疾患リスク低下
2019年12月1日にヨーロッパ心臓病学会が発行する予防医学の専門誌に歯磨きと心疾患の興味深い関係についての論文が掲載されました。
心疾患リスクをおよそ10%低減
心疾患の既往歴のない16万1286人を対象に行われたこの追跡調査の結果、歯磨きの頻度が0~1回/日の人と比べて、3回以上/日の人では
・心房細動のリスク:10%減
・虚血性心疾患のリスク:12%減
と、統計学的に有意に低下しました。
心房細動とは
心臓を動かす電気信号が異常に放出され、心臓が痙攣している状態です。心房細動が長時間あるいは長期間反復的に続くと血栓ができやすくなり、心筋梗塞などに繋がります。
虚血性心疾患とは
狭心症と心筋梗塞の総称です。狭心症は心臓の冠動脈に血栓が詰まりかけた状態、心筋梗塞はさらに進行し冠動脈が完全に詰まって心臓の一部が壊死した状態です。
狭心症は可逆的(発症前の状態に回復可能)ですが、心筋梗塞は不可逆的(発症前の状態に回復不可能)で、一度壊死し収縮機能を失ってしまった心筋を再生することは現代医学では困難です。
歯磨きは健康につながる
食後3回の正しい歯磨きにより、心疾患に限らず糖尿病や高血圧などの生活習慣病リスクも低下するという研究が数多く発表されています。
歯周病原菌は炎症性の物質を産生するため、歯周病に罹患している患者さまは四六時中、身体で微細な炎症が起きている状態です。
この微細な炎症が糖尿病や高血圧などの慢性疾患のリスクとなるのです。
歯磨きをきちんと行うだけで、全身の健康にも良い影響があるのですから、しない理由はありません。
ビールの美味しい季節になってきましたが、食後と就寝前の歯磨きはお忘れなく!
なお、当院では歯科衛生士による正しい歯磨きレクチャー、ひとりひとりに合ったセルフケアグッズのご提案も行っています。お気軽にご相談ください。