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2026.04.03

外科矯正・抜歯矯正と言われた方へ|非抜歯×インビザラインで改善した症例(20代女性)

「外科手術と抜歯が必要と言われたけれど、本当にそれしか方法はないのか」

そう悩まれていた20代女性が、セカンドオピニオンで来院された症例です

矯正治療の相談をした際に、「骨格的な問題があるため外科矯正が必要です」「歯を4本抜歯しなければきれいに並びません」と説明を受け、不安になった経験のある方は少なくありません。特に、見た目の改善だけでなく、将来的にしっかり噛めることや、違和感の少ない自然な口元を望んでいる方にとって、外科手術や抜歯を前提とした治療方針は大きな決断になります。

今回ご紹介するのは、20代女性の患者様の症例です。患者様は、以前から左上前歯のガタつきが気になっており、見た目も噛み合わせもきれいに整えたいと考えて、複数の矯正歯科で相談されていました。しかし、そのたびに「顎変形症の傾向があるため、外科矯正が必要」「上下4本の抜歯矯正が必要」と診断され、治療を進めることに強い抵抗を感じておられました。

患者様ご自身の希望は明確でした。できる限り骨を切る手術は避けたい、健康な歯を抜くことにも抵抗がある、そして可能であればマウスピース矯正で治療を受けたい。そのような思いから、セカンドオピニオンとして山道歯科 国際矯正・インプラントクリニックを受診されました。

矯正治療前の口腔内写真
矯正治療前の口腔内写真
矯正治療前の口腔内写真

患者様の相談内容

初診時に患者様から伺ったのは、「左上前歯のガタガタ感がずっと気になっていた」「見た目を整えたいだけではなく、噛み合わせもきれいにしたい」というご希望でした。これまで複数の矯正歯科で診断を受けた中で、いずれも外科併用矯正や抜歯矯正を提案されていたため、「本当にそれ以外の方法はないのか」「手術をしない方法では中途半端な結果になってしまうのではないか」という不安を強く持たれていました。

特に若い女性の患者様では、治療後にどれだけ歯が並うかだけでなく、口元の自然さ、横顔の印象、フェイスライン、そして日常生活の中での違和感の少なさまで含めて考えたいという気持ちがとても強いことがあります。この患者様もまさにそうで、単に「歯が並べばいい」ということではなく、「できるだけ自分の身体への負担を抑えながら、見た目も機能もきれいに整えたい」という明確な価値観をお持ちでした。

他院での矯正診断と、一般的に考えられる治療方針

実際にお口の中を確認すると、左上前歯は八重歯のようにずれた位置にあり、前歯部の叢生が目立っていました。また、噛み合わせを詳細に診ると、下顎の奥歯の位置関係が正常よりも前方にあり、いわゆるAngle Full ClassⅢの状態を呈していました。これは、単なる歯並びの問題ではなく、上下の歯列関係や顎位のバランスまで含めて考える必要がある症例です。

このようなケースでは、従来の矯正診断では大きく2つの治療方針が検討されることが多いです。

1つは、外科矯正を併用しながら骨格的なズレも修正し、上下の奥歯の関係をAngle ClassⅠへ整える方法です。これは理論上もっとも正統的で、骨格的な改善まで狙える方法ですが、患者様にとっては手術侵襲が大きく、身体的・精神的負担も小さくありません。

もう1つは、奥歯の関係そのものはClassⅢのままとし、前歯部の配列や見た目を中心に整える、いわゆるカモフラージュ治療です。この方法は手術を回避しやすい一方で、機能や違和感の面で妥協が必要になることがあります。

しかし私は、見た目だけを整えるのではなく、最終的に患者様が「自然に噛める」「違和感が少ない」「表情まで含めて調和する」という状態を目指すのであれば、可能な限りAngle ClassⅠの関係を獲得することが重要だと考えています。片顎の歯の本数を減らして無理に合わせたり、前歯部だけを局所的に整えたりしても、長期的には咬合の自然感や機能性に違和感が残ることがあるからです。

山道歯科 国際矯正・インプラントクリニックの検査と診断
当院では、矯正治療の診断において、従来の二次元的なセファロ分析だけに依存しません。セファロ分析は現在でも有用な検査ですが、二次元画像だけでは、顎骨の幅や歯槽骨の厚み、歯根の位置関係、歯の移動余地など、成人矯正で本当に大切な情報を十分に把握できないことがあります。

そのため当院では、3DCTを活用した三次元的な診断を行います。三次元画像診断では、歯が単にどこに並んでいるかではなく、「どの骨の中に」「どの方向に」「どこまで安全に移動できるか」を、より立体的に捉えることができます。これは、非抜歯で治療できる可能性を評価するうえでも、外科を回避できるかどうかを判断するうえでも極めて重要です。

ただし、3DCTを撮影すれば自動的に治療の選択肢が増えるわけではありません。大切なのは、その情報を読み解き、治療設計に落とし込めるかどうかです。画像から得られる情報量が多くても、担当医の治療の引き出しが少なければ、診断の幅は広がりません。逆に、立体的情報を治療戦略に反映できれば、従来の二次元診断では抜歯や外科が必要と考えられていたケースでも、保存的な選択肢を見出せる場合があります。

本症例でも、3DCTを用いた三次元的な分析により、歯槽骨の形態、歯列弓の拡大量、遠心移動の可能性、歯の配列スペースを総合的に検討した結果、非外科・非抜歯で治療可能と判断しました。患者様に「手術をしなくても、歯を抜かなくても、きれいに並べられる可能性があります」とお伝えしたとき、緊張されていた表情が一気に明るくなったことがとても印象に残っています。

矯正治療前の3DCT写真


なぜ非外科・非抜歯で治療できると判断したのか

一般的に、抜歯が必要と診断される症例では、歯列内、特に6番から6番の範囲の中で歯が並ぶかどうかがひとつの基準になります。つまり、「決められたスペースの中に歯が収まるかどうか」という考え方です。しかし成人矯正では、本来それだけで判断できるほど単純ではありません。

私は、スペースの評価を単に歯列弓上の長さだけで考えるのではなく、顎骨の立体構造と歯の移動可能域から考えます。歯槽骨の幅や厚み、皮質骨との関係、歯根の位置、咬合平面との調和、さらに顔貌とのバランスまで含めて診断することで、従来法では「不可能」と判断されていたケースでも、実際には非抜歯で安全に治療できる余地が見えてくることがあります。

また、本症例では外科矯正を回避するために、単に少し並べ替えるだけではなく、従来の矯正で想定される歯の移動限界量を超えたコントロールが必要でした。そのため、歯列弓の拡大と下顎歯列の遠心移動を組み合わせ、咬合全体を再構築する戦略が必要でした。

治療戦略:SIED Techniqueについて

今回の治療では、私が開発し、2nd World Young Dental Innovators Meetingでも発表したSIED Techniqueを応用しました。SIEDとは、Simultaneous Integrated Expansion and Distalization の略で、歯列の拡大と歯列全体の遠心移動を統合的に行うことで、非抜歯矯正の適応を広げるための治療戦略です。

従来の矯正では、「並べるスペースが足りなければ抜歯をする」「骨格差が大きければ外科をする」という判断になりやすい一方で、歯列全体をどう設計し直すかという視点が不十分なことがあります。SIED Techniqueでは、三次元診断に基づいて上顎歯列のアーチを適切に拡大しながら、下顎歯列を遠心方向へコントロールすることで、見た目だけではなく機能性を伴った咬合を作ることを目指します。

本症例では、上顎のアーチを広げることで左上前歯の叢生改善に必要なスペースを獲得し、さらに下顎歯列の遠心移動を行うことで、ClassⅢ関係をClassⅠ方向へ改善する設計を行いました。単に前歯だけを並べるのではなく、咬合の支点となる奥歯の位置関係まで含めて全体を再構築したことが、この症例の重要なポイントです。

SIED Technique講演中の様子

矯正装置の選択と治療の進め方

今回の症例では、ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも治療可能でした。しかし患者様は、できる限り目立ちにくい装置を希望されていたため、インビザラインによる治療を選択しました。マウスピース矯正は見た目の面で受け入れやすく、日常生活への影響も比較的少ない一方で、症例によっては適応に慎重な判断が必要です。特にClassⅢ傾向のある症例では、単純なアライナー治療では不十分なこともあります。

しかし本症例では、治療設計と補助処置を適切に組み合わせることで、マウスピース矯正でも十分に対応できると判断しました。加速矯正処置を併用し、3日に1度のペースでアライナーを交換しながら進めることで、移動効率を高めつつ、計画した歯の移動を着実に実行していきました。

また、必要最小限の処置として、歯と歯の間にわずかなスペースを作るIPRも行っています。エナメル質を0.1〜0.5mmの範囲で調整することで、歯質への侵襲を最小限に抑えながら、歯列のコントロール性を高めました。矯正治療中に必要となった虫歯治療にも適切に対応し、全体として低侵襲でありながら、機能的なゴールを目指す治療を行いました。

アライナー矯正中の右側方写真
アライナー矯正中の正面写真
アライナー矯正中の左側方写真

矯正治療の経過

上顎のアーチを拡大しながら、インビザラインシステムにSIED Techniqueを応用して下顎歯列の遠心移動を行い、機能性を伴う審美的咬合を確立しました。

矯正治療前の上顎咬合面
アライナー矯正中の上顎咬合面
矯正終了後の咬合面
矯正治療前の右側方面
アライナー矯正中右側方面
アライナー矯正中の右側方面2
矯正治療終了後の右側方面
矯正治療終了後の正面
矯正治療終了後の左側方面
矯正治療前の顔貌
矯正治療後の顔貌
矯正治療後の顔貌スマイル時

治療結果と治療後の変化

治療期間は約2年間でした。治療終了時には、非外科・非抜歯のマウスピース矯正で、Angle ClassⅢからClassⅠへの改善を達成することができました。前歯部のガタつきが改善しただけでなく、上下の噛み合わせ全体が整ったことで、見た目と機能の両面で自然な調和が得られました。

この症例で重要なのは、単に「歯が並んだ」ことではありません。正常なClassⅠ咬合を獲得したことにより、咬筋や口唇周囲筋など、顔貌に関わる筋肉の働きが安定し、治療前と比較してフェイスラインも引き締まりました。これは美容外科的なアプローチではなく、咬合と機能の改善によって生じた自然な変化です。噛み合わせが整うことは、口元だけでなく顔全体の印象にまで影響することがあります。

患者様にとっても、「手術をしなければきれいにならないと思っていた」「抜歯しなければ無理だと思っていた」という状態から、自分の歯を守りながら、希望していたマウスピース矯正でここまで改善できたことは、大きな安心につながったと思います。

同じように悩んでいる方へ

「外科矯正が必要と言われた」

「抜歯しないと治らないと言われた」

「でも本当にそれしか方法がないのか納得できない」

そのように感じている方は少なくありません。もちろん、すべての症例で外科回避や非抜歯が可能とは限りません。しかし、診断の視点が変われば、治療の選択肢が変わることはあります。 特に成人矯正では、二次元ではなく三次元的に骨と歯の関係を捉えることで、新たな可能性が見えてくることがあります。

大切なのは、「手術をするかしないか」「抜くか抜かないか」を先に決めることではなく、まずご自身の状態を正確に診断し、そのうえでどの方法が最も合理的で、長期的に納得できる治療なのかを考えることです。

当院の精密検査について

当院では、精密検査(55,000円)にて、見た目だけではなく、骨・歯・咬合の関係を総合的に評価します。外科を回避できる可能性があるのか、抜歯が本当に必要なのか、どの程度まで非抜歯で機能性を保てるのかを、一人ひとりの状態に応じて丁寧にご説明しています。

無理に治療を勧めることはありません。まずは、今の診断に本当に納得できているか、他に選択肢がないのかを知るためのセカンドオピニオンとしてご相談いただければと思います。

ご予約・ご相談はURL先のピンクのボタン次へを押して問診票へご記入をお願いします
https://www.genifix.jp/yamamichi-dc-caa/s/login/

治療担当医・記事監修:山道 研介

担当医プロフィール
Dr. 山道 研介

日本歯周病学会認定 歯周病専門医/デジタル矯正学会認定医
PRD日本版、国際誌等に論文掲載多数

  • 歯周再生・矯正・インプラント・審美補綴の統合治療に精通
  • 『THE NEXT LEVEL 骨造成の完成形(Istvan. Urban著)』日本語版 翻訳統括を担当
  • 成人矯正を安全に導くための矯正治療症例が世界最新テクニックとしてPRD日本版に掲載
  • GBR後20年の長期インプラント成功症例が世界最新テクニックとしてPRD日本版で掲載
  • クインテッセンス出版主催 World Young Dental Innovators Meeting にて日本を代表する若手臨床家として2期連続選出
  • 非抜歯矯正の適応症を拡大させるためのSIED Techniqueの開発者
患者様
  20代 女性
診察結果
  開咬、骨格性反対咬合
治療内容
  歯列矯正治療、マウスピース矯正治療、非抜歯矯正治療、外科回避型矯正
治療完了日と治療期間
  2022年12月(2年程度)
総治療費
  約165万円(税込)〜
治療後のメンテナンス
  3ヶ月に1回の通院によるかみ合わせや歯周病の進行状態のチェック
治療等の主なリスクや副作用等

歯科矯正治療は矯正装置装着後、個人差がありますがある一定の期間痛みを伴いますので、食事がとりにくかったり、物が噛みづらい、発音しづらい、口内炎ができるなどの不快感を伴う場合があります。口の中が狭い人、広い人で痛みの度合いが変わります。また、矯正治療は定期的な通院などの患者様のご協力が必要です。矯正装置の種類によりメリットデメリットがありますので、詳しくは治療計画説明の時にお伝えいたします。

治療開始前の診断

上記説明は例を挙げての治療の説明であり、個々の患者様の状態や難易度により治療の費用、方法や結果が異なります。治療の方針や治療費、治療等の主なリスクや副作用等に関しては治療開始前にご説明致しますので、まずは当院まで治療の相談を予約されて下さい。

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