2020.05.17
ブダペスト研修から一年②
前回のブログではウィーンを楽しむ様子ばかりでしたが、今回はいよいよ研修の地ハンガリー・ブダペストです。
ブダペストを訪れた目的
2018年10月5日、パシフィコ横浜で第8回日本国際歯科大会2018が開催されました。3日間でのべ5万人の歯科関係者が参加、4年に一度開催されることもあり、歯科のオリンピックとも呼ばれる大きな学術大会です。
山道歯科医院 院長・山道信之も4大会連続でスピーカーに選出され、発表を行いました。
そのメイン会場、満席でモニター中継すらも立ち見の先生が出るセッションがありました。
そのセッションのスピーカーの一人が今回の目的地 ハンガリー・ブダペスト で開業されている Istvan Urban先生(イシュトヴァン・ウルバン先生)でした。
もちろん学術誌などではよく存じ上げている先生でしたが、直接発表を聞き、私たちも鮮やかな症例やエビデンスベースの発表にとても興味が湧きました。
どうにかこの先生に直接学美、話を聞く機会はないだろうか?
これが、この研修を企画するきっかけとなったできごとでした。
Urban Regeneration Institute
Urban先生はブダペストに歯科医院であり、歯科教育施設でもあるUrban Regeneration Institute を開設されています。今回の研修もこの施設で行われました。
山道歯科医院でも採用している、日本の歯科材料メーカー・モリタの診療ユニット(歯科用チェア)を使用されており、空調もダイキン、また日本人の歯科技工士さんともお仕事されるそうです。研修中の昼食もお寿司でした。
日本のメーカーのものを使ってらっしゃると、なんとなく嬉しく感じますね。
2018年11月時点で、2019年中にUrban先生が主宰されるコースは全て満席となっていました。しかし、ある先生からご縁をつないでいただき、この2日間プライベートコースを開催していただくことができたのです。その先生も院長が若かりし頃からの友人であり、仕事のパートナーでもあります。また別の機会にご紹介するでしょう。
2日間のコースで学んだこと
本来3日間かけて学ぶ内容を、このプライベートコースでは2日間に凝縮して、勉強させていただきました。8:30から18:00までランチブレークなどを除いても1日8時間、英語で学び倒し、2日とも夜はヘトヘトになりました…。
このコースで感じたのは、Urban先生の基本的な考え方が、山道信之院長のものに非常に近いということでした。
歯科関係者以外の方にはあまり知られていないのですが、実はもともとインプラントは大学ではなく開業医から発展した歯科医療技術なのです。大学の授業でももちろん基礎は学びますが、臨床の技術やアドバンスの内容までは学ぶ機会がありません。時間が足りないというのが正しいところでしょう。
私(美季)もインプラントやサイナスフロアエレベーション(上顎洞の骨造り)、Urban先生のコースでも学んだGBR(顎の骨を再生させる治療)などは、院長から初めて教わりました。
院長はインプラントが日本に入ってきた当初から勉強をはじめ、前述のインプラント関連分野で論文や書籍の執筆などの実績を積み重ねてきました。70歳を超えた現在でも、1日2回のオペもこなし、新たな論文に意欲を燃やす人です。
院長の考え方や技術がベースとなっている私たちにとって、Urban先生のコースは非常にすんなりと馴染みました。
内容は口外できませんが、硬組織(骨・歯)から軟組織(歯肉・粘膜など)まで、今まで院長から学んできたことの裏付けを与えられた感覚でした。
同時に山道歯科医院が信じて、患者さまに提供し続けている歯科医療は現時点の科学では正しいと、再認識することができました。
2019年5月のブダペストを思い返して
この一年で世界情勢は大きく変化しました。
コロナウイルスの感染拡大に伴い、様々な分野における価値観、経済状況、人間同士の関わり方など、全てが激変しています。
私たち歯科医師においても例外ではありません。
もともと感染症リスクの高い職業であるため、常に感染対策は行っていましたが、やはり新型コロナウイルスにはいつも以上の警戒心を持って接しています。
飛沫の発生する器材が使用できなかったり、ご来院を延期いただかないとならず思い通りに治療が進められなかったり、様々な制限に日々頭を悩ませているのが正直なところです。
ただし、これだけ多くの物事が変動しても変わらないのは、私たちが現時点で提供できる最大限の歯科医療技術を提供し続けていくべきだということです。
そのためには常に新しいことを学び、検証し、工夫し、身につけていくこと、これしかないと考えています。
まだまだ修行の身でこんな大それたことを言える立場ではないのですが、心が弱りそうな中でも、こういった意識を持って日々を大切にしようと再認識することができました。
最前線で尽力される医療関係者、ライフラインを支えてくださる関係者、そして私が知らないところで私たちの生活を支えてくださっている方たちにもいらっしゃるでしょう。その方達に深く感謝し、一刻も早く、世界の、そして日本の平穏が取り戻されることを願っています。
最後まで目を通してくださりありがとうございました。
追記:上の写真にも写っているUrban先生の開発された外科用器具、Mini-Me(Hu-Friedy)は今や欠かせません。Mini-Me(小さな自分)、このネーミングに心からうなずくほど自由自在に扱える、頼れる右腕(たまに左腕)です!